これまでも新しいツールや手法に柔軟に適応してきた皆さま。今、AIは人々の学び方・働き方を大きく変えつつあり、教える現場も例外ではありません。
Udemyでの最新の調査(英語)から見えてきたことと、これから先手を打つためのヒントを共有します。
いま必要なリアリティチェック
YouGovと実施した4つの主要経済圏での調査で、重要な示唆がありました。多くの人は「自分自身」より「他の人」へのAIの影響を強く心配している、ということです。こうした「楽観バイアス」は、一見身を守っているようでいて、教育・仕事・日常に起きている現実の変化への備えを遅らせるリスクになります。
学習を通じて他者の変化を支える立場にいらっしゃる講師の皆さまは、この時代に特別なポジションにいます。では、ご自身の備えは、受講生に向けるのと同じ意図と計画性で進められているでしょうか?
データが示すこと
- 労働者は「自分のキャリアへの影響」よりも「経済全体の雇用への影響」を1.5〜2倍強く懸念
- プロフェッショナルの過半数がAIに関するリスキリングに取り組んでいない
- 多くの人が「必要なAIスキルが不足している」と自覚しながら、行動に移せていない
- 一方で、認識バランスが取れている地域ほど、研修参加率が高い傾向
あなたの「教える力」というアドバンテージ
講師であるあなたは、AIには代替できない力を持っています。共感力、創造性、実務経験、そして学ぶ意欲を引き出す力。大切なのは、AIがあなたの影響力を置き換えるのではなく、高めるための活用方法を身につけることです。
先を行くための実践ステップ
まず、講師として実際に行っている業務を書き出してみましょう。コース制作、受講生対応、コンテンツ更新、マーケティングなど。
どのAIツールがそれらを効率化できるかを調べ、カリキュラム設計や学習者との対話といった高付加価値の活動に時間を割けるようにします。
1.ワークフローにAIを試験導入
小さく始め、次の用途で試してみましょう。
- 調査・リサーチやコンテンツの発想出し
- 動画編集・品質向上
- コースのアウトラインや評価課題の作成
- フィードバック傾向の分析
2. 複数のシナリオを描く
あなたの専門領域にAIがどう影響するか、複数パターンで検討します。
- 楽観:AIでより良いコースを速く作り、より多くの学習者に届けられる
- 現実:一部は自動化される一方、人間中心でAIを活用した学習体験の需要が高まる
- 難所:競争が激しくなり、専門性や教え方の独自性で差別化が必要になる
3. AIスキルと人間的スキルの両方を伸ばす
AIツールを学ぶと同時に、代替されない力も強化しましょう。
- ストーリーテリングと実務適用力
- 感情知性(EQ)と受講生との関係構築
- 批判的思考と問題解決の伴走
- 変化対応力と継続学習マインド
4. ネットワークから学ぶ
他の講師がAIをどう取り入れているか、つながって情報交換を。戦略・ツール・実践事例を共有することで、変化がより具体的・現実的に捉えやすくなります。
これからのチャンス
「AIは講師を置き換えるのか?」ではなく、「どう使えば、より効果的に教え、より多くの学習者に届くのか?」と問いを立て直してみましょう。
AIを力強い“ティーチング・アシスタント”として受け入れ、同時に学びの核心にある「人間的な要素」を一層磨く講師が、これからの時代に活躍します。皆さまには、変化を乗りこなす学びのマインドと教育の専門性があります!
次の一歩
今週、コース制作や受講生エンゲージメントを高められそうなAIツールを1つ試してみてください。小さく始め、実験し続けましょう。あなたの最大の強みは、教える内容だけではありません。人々の学びと成長を後押しする、その力です。
皆さんはどのAIツールに興味がありますか?活用しているツールや工夫、またはご感想をコメントでお聞かせください。
Teach On,
Udemy 講師チーム